契約審査MEDIApowered by 弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

【弁護士解説Q&A】 機密情報を適切に保護しよう! 秘密である旨の明示は必要?
2026.10.14

【弁護士解説】秘密保持契約(nda)の実効性を高める。「秘密である旨の明示」を定める際のポイントとは?|開示者側・受領者側双方の契約審査(契約書レビュー)Q&A

この記事では、秘密保持契約の「秘密情報である旨の明示」に具体的に該当する表示または該当しない表示について、開示者側・受領者側双方からのご相談にお答えします。

相談事例

~A社及びB社(秘密保持契約 開示者及び受領者双方)より~

電子部品メーカーA社(開示側)は、××という新技術を用いた商品開発をするために、B社と共同開発の可能性を探るべく、秘密保持契約を締結する運びとなりました。その秘密保持契約書案には、秘密情報の定義が次のように定められていました。

「秘密情報とは、本件目的(××を用いた商品の共同開発の可能性の検討)のために甲(A社)が乙(B社)に開示する一切の情報をいう。」

A社からB社に開示が予定される情報は、××の仕様だけでなく、過去の研究データ、参考情報としての別技術■■など、膨大且つ多岐に渡ります。今後、A社は、B社に対して、これらの情報をメール等で共有するとともに、会議で説明する予定です。

A社及びB社は、それぞれの立場から、契約書記載の秘密情報の定義をこのまま受け入れてもよいのでしょうか。

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所の回答

「秘密情報とは、…開示する一切の情報」という現行の定めをそのまま受け入れると、受領者は開示されたすべての情報について秘密保持義務を負います。

このように網羅的に秘密保持義務を課す方法は、一見すると漏洩等の危険が低下するようにも見えますが、開示情報ごとの機密性の大小にかかわらずセキュリティが一律になる面があり、かえって漏洩等の危険が高まるおそれがあります。また、網羅的な秘密保持義務の履行を約束した場合、受領者側の管理コストが予想外に高くなるおそれもあります。

したがって、秘密情報として扱うべき情報を客観的かつ明確に特定できるように、秘密情報とするものには「秘密である旨の明示」を施すべき旨を契約書に明記しておくことが推奨されます。

以下、詳しく見ていきましょう。

まずは、「秘密保持契約(nda)とは」「秘密情報である旨の明示の意義及び必要性」について、説明します。

秘密保持契約(nda)とは

秘密保持契約は、自社が持つ情報を他社に開示する際に、その情報を秘密に保持する方法や使用目的、使用期間、返還方法などを取り決めるために締結する契約です。英語では「Non-Disclosure Agreement」と表記されるため、その頭文字を取って「NDA」とも呼ばれます。

契約を締結し取引を行うことになると、製品の情報や顧客の情報など自社の様々な企業秘密を相手方に開示することがあります。また、逆に相手方からこれらの情報を受領することがあります。これらの情報が漏洩したり、第三者に売却されたりすれば、企業が重大な損失を被ることになりかねません。

そこで、情報を開示する前に秘密保持契約を締結して、相手方に対して秘密情報の第三者への開示、目的外使用などを禁止しておくことが一般的です。このように、秘密保持契約は、自社の重要な情報を保護し、ビジネスの安全性を確保するために重要な役割を果たします。

秘密保持契約では、主に以下の条項を定めます。

▪秘密情報の利用目的
▪秘密情報の定義(秘密情報の範囲)
▪秘密保持義務
▪目的外使用の禁止
▪秘密情報の返還・破棄
▪損害賠償・差止め
▪有効期限
▪存続条項(契約終了後の守秘義務の存続)

開示情報における契約上の保護と法律上の保護

相手方に自社の情報を開示する際、その情報を法的に保護する手段としては、契約による保護(秘密保持契約の締結)と法律による保護(不正競争防止法等に基づく請求)があります。

いずれも秘匿性のある情報(以下「秘密情報」とします。)を保護するという目的は同じですが、保護を受けられる情報の範囲に少し違いがあります。

前者の場合(秘密保持契約で情報を保護する場合)には、保護される秘密情報の範囲を当事者の合意で定めます。

一方で、後者の場合(不正競争防止法に基づき情報を保護する場合)には、その情報が営業秘密や限定提供データに該当することが必要です(不正競争防止法2条6項・7項)。

(※限定提供データとは、例えば、販売サイトに集積された消費者の消費動向から導出される統計データなどの情報をいいますが、ここでは営業秘密に焦点を合わせて説明します。)

営業秘密といえるためには、下記3つの要件を満たす必要があります。

① 秘密管理性…その情報が秘密として管理されていること
② 有用性…その情報が事業活動に有用であること
③ 非公知性…その情報が公然と知られていないこと

前述のとおり、情報を開示する際に秘密保持契約を締結したのみでは、必ずしも営業秘密に該当するとは限りません。特に、①の秘密管理性については、秘密保持契約の締結以外にも、開示者側が採るべき措置が明確に必要となります。

具体的には、その情報が記載・記録されるファイル、紙面、フォルダ、電子データに「confidentia」などの表記を付ける、保管場所への立入権限やアクセス権限の設定を行う、自社の機密情報の内容や類型をリスト化するといった措置が必要になります。

要するに、秘密管理性が認められるには、開示者の主観的な認識では足りず、その情報にアクセスする従業員の目線において客観的に秘密であると認識できる状況の存在まで要求されるということになります(営業秘密管理指針|経済産業省 参照)。

もっとも、営業秘密の要件が把握できているからといって、秘密保持契約を締結する意味がないというわけではありません。取引の段階によってはスピードが求められることもあり、逐一、その開示情報が客観的に秘密と認識できる状況で管理されているか否か(つまり、その情報が不正競争防止法で保護されるか否か)を判断できない場合もあります。

そのため、万が一、その情報が営業秘密に該当しない場合に備え、秘密保持契約を締結する必要があるのです。

ただし、秘密保持契約と不正競争防止法では、その情報が受領者の下で漏洩等してしまった際に、開示者側で受けられる保護の内容に差があります。

例えば、不正競争防止法で保護される場合には、特に定めを置かなくとも、漏洩情報の使用差止めを請求でき、また、違反行為を組成した物や供用された設備の除去等の妨害排除や妨害予防を請求できます(不正競争防止法第3条、第2条1項4号~9号)。さらに、損害賠償額の推定が働くなど、開示者側が訴訟で立証活動しやすくなるといった恩恵も受けられます(同法第5条~第7条等)。これらの恩恵は、秘密保持契約では原則保障されない、不正競争防止法における固有のメリットです。

一方、秘密保持契約にも不正競争防止法にはない固有のメリットがあります。

例えば、秘密保持契約では、情報管理の方法や水準、監査の条件・時期、漏洩時の対応について、当事者間で具体的に定めることができます。つまり、契約書で、情報の機密性に合わせた管理基準や相互の連携を詳細に設定できるので、情報管理や事故時の対応の点で現場の判断をサポートできるということです。

自社の大切な情報をしっかりと保護するには、秘密保持契約と不正競争防止法の両方を上手く合わせて、漏洩等の事故が起きるまでのリスクと事故が起きてからのリスクの双方をコントロールすることが大切になります。

出典:e-Gov法令検索「不正競争防止法」第2条1項・6項・7項、第3条、第5条~第7条
https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000047

▶営業秘密管理指針|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/r7ts.pdf

「秘密情報である旨の明示」の意義及び必要性

秘密保持契約では、前述のとおり、秘密情報の定義(秘密情報の範囲)を定めることが一般的です。

秘密情報の定義を定めることによっては、開示者にとっては、受領者が「どれが秘密情報なのか」を容易に判別できるようにし、意図せず秘密情報が漏洩してしまうリスクを減らすことができます。一方、受領者にとっては、秘密保持義務を負うべき情報(管理対象)を特定でき、不必要な情報管理コストの発生を防ぐことができます。

そのため、実務上は、契約書に、秘密情報の定義を定めるときは、書面、電子データ、口頭などの情報の開示方法に応じた適切な形式で、秘密情報であることを示す表示を明示し限定することが多いです。

「秘密情報である旨の明示」として、具体的には以下が挙げられます。

(1)書面や電子データの場合
書面(紙)や電子データで秘密情報を開示する場合、当該媒体の表紙や各ページに「Confidential」「秘密情報」「秘」などのスタンプや透かしを付します(ラベリング)。

(2)口頭開示の場合
会議など、口頭で秘密情報を開示する場合には、その場で当該情報が秘密情報であることを伝え、且つ、一定期間内に当該情報を記載した書面(電子メールも含む)を送付し、その情報が秘密情報であることを改めて明示します。

本項の内容を踏まえて、「秘密である旨の明示」を追加するレビュー例を見てみましょう。

<レビュー前の条項>

本契約において、「秘密情報」とは、開示者が、書面、電磁的記録媒体、その他の媒体に化体して情報を開示した一切の情報をいうものとする。

<レビュー前の条項>では、開示した情報が制限なく秘密情報として扱われる内容になっています。しかし、相談事例のように、大量の情報のやりとりが想定される取引では「一切の情報」と定めることで、かえってセキュリティの脆弱さを生んだり、管理費用が過大になるするきっかけになり得ます。

そこで、下記の<レビュー済みの条項>では、ルール(秘密である旨の明示)を追加して、どの情報を厳格に保護すべきかを双方間で明確にし、セキュリティや管理費用の適正化を図っています。

<レビュー済みの条項>

本契約において、「秘密情報」とは、開示者が、書面、電磁的記録媒体、その他の媒体に化体して情報を開示した場合には、「Confidential」「秘密情報」「秘」等の表示を当該媒体に付すことによって秘密情報である旨を明示した情報をいい、口頭又は視覚的に情報を開示した場合には、開示者が開示の際に当該情報が秘密である旨を口頭で明示し、かつ当該開示を行った日から1週間以内に秘密情報の内容及び秘密情報である旨を明示した書面にて受領者へ通知した情報をいうものとする。

条項例については、中小企業庁のホームページ「知的財産取引に関するガイドライン・契約書のひな形について」に掲載される「秘密保持契約書ひな形」第2条もご参考いただけます。

▶「知的財産取引に関するガイドライン・契約書のひな形について/秘密保持契約書ひな形(PDF)|中小企業庁」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/chizai_guideline/guideline02.pdf

《秘密情報である旨を明示する意義と方法》

「秘密情報である旨の明示」が必要な理由

開示者

受領者が秘密情報を判別しやすくなる

➠意図しない情報漏洩のリスクを減らす

受領者

秘密保持義務を負う管理対象を特定できる

➠不必要な情報管理コストの発生を防ぐ

▼ 開示方法に応じて、秘密情報であることを明示

① 書面・電子データ

② 口頭開示

表紙や各ページに表示

「Confidential」「秘密情報」「秘」などの
スタンプ・透かしを付す(ラベリング)

その場で秘密情報であることを伝える

一定期間内に、内容を記載した書面や電子メールを送付し、改めて秘密情報である旨を明示

▼

①②とは別に明示が推奨されるケース

プロジェクターによる説明、イメージ図・動画の共有など

口頭開示の場合と同様に、

その場で秘密情報であることを伝えたうえ、一定期間内に書面や電子メールで改めて明示

本事例の解説

「秘密である旨の明示」を施す際のポイント

A社は、B社との共同開発に際し、自社の重要は新技術××に関する情報を開示するのですから、A社としては、開示した情報が広く保護されることを希望するでしょう。そうすると、本事例のように秘密情報の定義を「甲が乙に開示する一切の情報」とすることは、一見、A社の意向に沿っているようにも思えます。

しかし、膨大で多岐に渡る資料を開示するような場合に、B社としてどれが秘密情報に該当するか不明瞭で、意図せず第三者に当該情報を開示してしまうこともあり得ます。

また、秘密情報の定義を「甲が乙に開示する一切の情報」とすると、受領した情報を他の情報と隔離したり、アクセス制限をかけたりなど、B社の管理運用工数(管理コスト)が増えてしまいます。そのため、B社としては、できるだけ受領する秘密情報の範囲を狭めたいと希望するでしょう。

このような当事者間の利害を調整するために、秘密情報の定義では、書面、電子データ等には「confidential」などの表示を明示することを定めておくことが考えられます。

なお、実際例の中には、大量の資料の場合、その一部にのみ「confidential」などの表示を施し、それ以外の関連資料には表示を省略するケースもあります。このような場合、どの資料までが秘密なのかが不明確となってしまうので、関連資料にも「confidential」などの表示をしておく方が安全でしょう。

口頭による開示の際の注意点

A社は、B社に対して会議で新技術××について説明する予定です。

このとき、例えば、A社が会議の冒頭でB社に対して、「これからお話する内容は秘密情報となります」と宣言しましたが、会議では新技術××の仕様だけでなく、今回の新技術××とは直接関係ないと思われるA社の別技術■■も含まれていたような場合を考えてみてください。

おそらくA社としては当然に別技術■■の情報も秘密情報と考えているでしょうが、B社としてはその認識が不明瞭である可能性があります。

このような場合に備えて、秘密情報の定義では、口頭での秘密情報の開示方法として、秘密情報である旨を伝えるだけでなく、後日、一定期間(1~2週間が一般的ですが、社内調整を考慮し30日程度が設定される場合もあります)に、書面で秘密情報を特定して相手方に通知することを定めることが考えられます。

なお、「口頭」での開示とは、直接対面で話すことのみならず、電話、オンライン会議なども含まれます。

映像等の視覚的方法を用いた開示での注意点

上述の通り、A社はB社に対し会議での説明を予定しています。初めての会議説明では、双方の新商品に対する認識を擦り合わせるために、新商品のイメージ動画等を映像で流すこともあります。この場合、紙・メールでも口頭でもなく、視覚的方法で開発動機や新商品の特徴・構造等の情報が開示されます。

この点について、本事例では、契約書の秘密情報の定義「甲が乙に開示する一切の情報」としていますので、こうした視覚的方法での開示情報についても、B社に秘密保持義務が課されると考えることも可能です。

しかし、たとえ秘密保持義務が課されていても、B社側でこれらの情報が秘密情報にあたると認識できなかったら、漏洩等を招くおそれがあります。

したがって、A社において、映像など視覚的方法でB社に情報を開示する可能性がある場合には、視覚的方法での開示の際に秘密情報である旨を相手に告知し、開示後一定期間内に開示した秘密情報の概要や開示日を通知するなどの開示手続を、契約書にしっかりと記載しておきましょう。

なお、具体的な記載方法については、「4.秘密情報である旨の明示の意義及び必要性」(2)の<レビュー済みの条項>がご参考いただけます。

秘密情報と除外事由

秘密保持契約の定義する「秘密情報」に該当すれば、少なくともその情報が返還・破棄等されるまでは、原則として相手方はを守秘義務を負います。

一方、一切の例外なく秘密情報について守秘義務を負うと規定した場合には、受領者は、予想外の事業上の制約を受けるおそれがあります。

例えば、相談事例において、A社の提供する秘密情報の中に新技術××のベースとなる公知技術〇〇があったとします。

もし、B社が公知技術〇〇を他の目的で使用できなくなると、B社は、現に公知技術〇〇を使った取引を中断したり、将来の公知技術〇〇を使った事業活動を自粛するなどの制約を受けます。

しかし、公知情報とは本来誰しもが利活用できる情報です。それにもかかわらず、B社が公知情報を使った事業活動を制約されるという顛末は、不公平とも言えます。

そのため、多くの秘密保持契約では、受領者に守秘義務を課すことが不公平な結果を招く情報(下記①~⑥)について、例外的に秘密情報から除外しています。

① 開示時に既に公知であった情報
② 開示後受領者の責めによらず公知となった情報
③ 開示前から受領者が保有していた情報
④ 正当な開示権限を持つ第三者から守秘義務を負わずに適法に取得した情報
⑤ 開示情報によらず受領者が独自に開発した情報
⑥ その他に当事者間が合意した情報

ただし、ある情報の中に①~⑥の除外事由が含まれている場合にも、どの範囲で守秘義務が免除されるかという点については、個別に検討する必要があります。

例えば、電子ファイルに公知情報が含まれていても、その電子ファイルの全範囲が免除となるわけではありません。つまり、除外事由に該当しない箇所の情報については、受領者は引き続き守秘義務を負うことになります。

いずれにしても、受領者側では前もって、現在使用する又は将来使用しうる自社の保有情報ごとに、その情報を保有するに至った経緯・公知の有無等の事項と紐付けたリストを作成しておくとよいでしょう。そうすることで、情報を受領した際に、除外事由の箇所を比較的簡単に特定できます。

加えて、リストの作成日時を技術上改ざんできない方法で記録しておくと、リストに書かれた情報は、開示前から受領者の手元にあったことが裏付けられるので、除外事由③④の証拠として使えます。

万が一、このリストを見ても、その情報が除外事由に該当するか否かが曖昧な場合には、開示者と話し合って認識を突き合わせておくと、契約上は安全と言えます。

おわりに(本記事のまとめ)

以上のように、秘密保持契約における「秘密情報である旨の明示」は、双方の認識の齟齬を防ぎ、信頼関係に基づいた円滑な取引の基盤となり得ます。実際の取引場面を具体的に想定ながら、契約条項を作成しましょう。必要に応じて、弁護士等の法律専門家に確認を依頼しながら契約書の作成やレビューを行うこともお勧めします。

電子契約を利用する際の留意点

電子契約で契約を締結すると、従来の紙の契約書で手間となっていた事務(作成・郵送・管理・検索など)の多くが省略できる上、電子署名を使って簡単に契約締結手続を済ますこともできます。また、収入印紙が原則不要になるため、取引の際のコストを削減できます(印紙税法第3条、第44条)。さらに、取引ごとに、契約書と関連資料との紐付けが容易に行えるので、取引担当者が契約関係の全体像を把握しやすいといったメリットがあります。そのため、電子契約を活用すると、会社の契約締結業務の効率を向上させたり経費削減を図ることができます。

一方で、事業用定期借地契約・任意後見契約・企業担保権の設定契約などの、公正証書での契約締結が義務とされる取引では、電子契約の締結が認められません(借地借家法第23条3項、任意後見契約に関する法律第3条、企業担保法第3条等)。また、電子契約の場合、電子帳簿保存法や法人税法に対応した保管方法や保有期間を遵守する必要があります。

自社への電子契約の導入を検討するときは、社内に、対象となる契約が電子化してよいものか否かを判断する手順や、関連法令に対応した管理・運用体制がきちんと整備されているかを確認しておきましょう。

その他に、電子契約は電子システムの中で管理されるデータであるので、セキュリティが脆弱だと、部外者等による無権限の契約書サインやデータ改ざんを招くおそれがあります。したがって、電子契約の導入の際には、不正アクセス等に対する技術的措置、社内整備、研修による周知徹底等を実施し、安全で適切なセキュリティ体制の構築を並行して行いましょう。

《電子契約のメリットとデメリット》

業務効率化とコスト削減が期待できる一方、法令対応と安全な管理体制が必要です

メリット

デメリット・注意点

● 契約締結業務を効率化
作成、郵送、締結、保管などの事務負担を軽減

● 契約関連コストを削減
郵送・保管費用を抑え、収入印紙も原則不要

● 検索・管理が容易
契約書と関連資料を取引ごとに紐付けて管理可能

● 契約関係を把握しやすい
従業員が契約関係の全体像を確認しやすい

● 電子化できない契約がある
公正証書など法定の方式が必要な契約を事前に確認

● 保存要件への対応が必要
電子帳簿保存法や税法に沿って保存・保有期間を管理

● 不正利用・改ざんのリスク
無権限の署名やデータ改ざんを防ぐ技術的措置が必要

● 社内体制の整備が必要
権限管理、運用ルール、従業員研修を継続して実施

当事務所での契約書審査サービスについて

当事務所では、主に企業向けに、最新の法改正に対応した契約書等の作成・審査のサービスを提供しています。契約書審査サービスでは、対象の契約を業務提携先(委託先など)も含めた広い視野で専門家が事前に確認し、無料のひな形では検出の難しい法的リスクを洗い出します。また、ビジネス上のメリットや交渉時のポイントも踏まえた契約書レビューで依頼者をサポートします。これらのサービスは、新規契約、契約更新、条件変更など、取引上のさまざまなケースやタイミングでご活用いただけます。

当事務所の提供するサービスの詳細やご依頼の流れについては、当事務所の案内ページの方で紹介しています。

※本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士。
慶應義塾大学環境情報学部、青山学院大学法科大学院卒業。企業法務、国際取引、知的財産権、訴訟に関する豊富な実務経験を持つ。日本及び海外の企業を代理して商取引に関する法務サービスを提供している。2008年に弁護士としてユアサハラ法律特許事務所に入所。2012年に米国カリフォルニア州に赴任し、 Yorozu Law Group (San Francisco) 及び Makman and Matz LLP (San Mateo) にて、米国に進出する日本企業へのリーガルサービスを専門として経験を積む。
2014年に帰国。カリフォルニアで得た経験を活かし、日本企業の海外展開支援に本格的に取り組む。2017年に米国カリフォルニア州法人TandemSprint, Inc.の代表取締役に就任し、米国への進出支援を事業化する。2018年に弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所を開設。世界市場で戦う日本企業をビジネスと法律の両面でサポートしている。
アクセスランキング