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- 2025.12.18
英文の秘密保持契約書(NDA)を作成・レビューするポイント|サンプル条項付きで法律事務所が説明
海外企業との取引や英文契約書に携わったことのある方であれば、「NDA(Non-Disclosure Agreement)」や「Confidentiality Agreement」といった秘密保持契約を目にしたことがあるのではないでしょうか。秘密保持契約は、国際取引において、当事者の信頼関係を維持するために極めて重要な役割を果たします。しかし、英語で書かれた秘密保持契約には、日常英語とは異なる専門用語や独特の言い回しが多く、正確に理解するには一定の知識が求められます。
この記事では、グローバルビジネスにおいて、英語での秘密保持契約(NDA)を適切に締結し、将来的なトラブルやリスクを未然に防ぐために、その基本知識と注意点をサンプル条項を挙げながら弁護士がわかりやすく解説します。
目次
英文秘密保持契約の基礎知識
秘密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)とは
秘密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)とは、ビジネス上知り得た秘密情報を第三者に開示しないことを契約によって約束するものです。情報漏えいのリスクを防ぐために重要な契約で、英文契約書では”Confidentiality Agreement”などの名称が使われることもあります。
秘密保持契約が締結される場面
秘密保持契約は、新規取引の検討段階や技術情報の共有、業務委託、M&Aの交渉、共同開発の協議など、機密性の高い情報をやり取りする前に締結されます。契約の有無によって、情報の取り扱いに対する法的リスクが大きく異なります。
双務契約と片務契約
秘密保持契約には、双方が情報を開示し合う「双務契約」と、一方のみが情報を開示する「片務契約」があります。
双務型は、両者が機密情報を交換する場面でよく使われ、共同開発・研究、業務提携・資本提携、などで選ばれます。片務型は、一方の当事者のみが秘密保持義務を負い、企業が外部の業者に業務委託する場合などで選ばれます。
契約の形式により、条文の内容や義務の範囲も変わってくるため、状況に応じた選択が必要です。
▶参考情報:英文契約書の基礎知識については下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
・英文契約書の基礎知識と注意点を解説・サンプル例文付き編
英米法の秘密保持契約書と日本法の秘密保持契約の違い
英米法の秘密保持契約書
英文の秘密保持契約書では、一つひとつの単語や表現が契約全体に重大な影響を与えるのが特徴です。これは、英米法が「文言ベース(text-based)」の解釈を採るためであり、契約書に記載された具体的な言葉そのものが法的効力を決定づけるという原則に基づいています。
たとえば、秘密保持契約において “shall” と “may” の使い分けは極めて重要です。
“The Recipient shall not disclose…” であれば義務(強制)“The Recipient may disclose…” であれば許容(任意)
この”shall”か”may”かの違いだけで、後に契約違反とされるか否かが変わることもあります。
また、英文契約書では、義務の強さを示すために”efforts(努力)”という表現が使われます。”best efforts”は最も強く、最大限の努力を意味します。”reasonable efforts”は常識的な範囲での努力、”commercially reasonable efforts”はビジネス上無理のない範囲での努力を指し、義務の程度はやや軽くなります。似た表現でも意味が異なるため、文脈に応じた使い分けが重要です。
日本法の秘密保持契約
日本語の秘密保持契約書では、契約条文が多少曖昧でも「常識的な解釈」で補えるという前提で作られていることが少なくありません。日本法では、解釈において当事者の意思や事情が重視される傾向があるためです。
秘密保持契約と約因(Consideration)
英米法における契約は、日本法と異なり、法的拘束力を持たせるために「約因(consideration)」が必要とされます。「約因」とは、簡単にいえば、契約当事者が互いに何らかの対価を提供し合うことです。これがなければ、契約は「一方的な約束」に過ぎず、裁判所において法的保護を受けることが難しくなる可能性があります。
秘密保持契約では、特に注意が必要です。というのも、秘密保持契約はその性質上、一方当事者にだけ秘密保持義務を課し、他方当事者は何の義務も負わないという、片務的な構成となることが少なくありません。約因の不存在に気づかず体裁のみを整えた契約書では、「対価のない一方的な約束」とみなされ、契約の効力自体が否定されるリスクがあります。
このリスクを避けるためには、秘密保持契約が将来の業務提携や取引の準備として交わされていることを、契約書の前文において約因として明記することが有効です。
秘密保持義務の背景には将来的な取引の可能性という「見返り(consideration)」があると解釈され、法的な拘束力を担保することができます。
サンプル条項
| “This Non-Disclosure Agreement (“Agreement”) is entered into in anticipation of discussions and potential business relationship between the parties, and the exchange of Confidential Information is a necessary and integral part of such discussions. Each party acknowledges that the disclosure and receipt of such Confidential Information constitutes sufficient consideration for the obligations set forth herein.“ |
| 「本秘密保持契約(以下「本契約」という)は、当事者間における将来的な業務関係または取引の可能性を前提とする協議の一環として締結されるものであり、かかる協議において秘密情報の開示および受領は不可欠な要素である。当事者は、秘密情報の開示および受領が、本契約に定める義務に対する十分な約因(対価)となることを相互に認める。」 |
▶参考情報:英文契約書における「約因」については下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
・英文契約書における約因(consideration)とは?約因の役割や具体例について、契約法務に詳しい法律事務所が解説
英文秘密保持契約(NDA)の基本構成
英文秘密保持契約は、一般的にいくつかの主要パートで構成されています。まず、契約当事者や契約日を示すPremises(頭書)があり、その後に契約締結の背景を説明するWhereas clause(前文)が続きます。契約の中心部分であるOperative provisions(本文)には、秘密情報の定義、開示・使用の範囲、例外、義務期間などが明記されます。最後に、契約の成立を示す署名欄などのEnd of operative provisions(後文)が設けられ、法的拘束力を持たせる形となっています。
| Premises (頭書) | 契約の当事者と日付を明記する |
| Whereas clause (前文) | 契約の背景・目的を簡単に説明する |
| Operative provisions (本文) | 契約の中核であり、義務や定義など具体的な内容を定める |
| End of operative provisions (後文) | 契約締結の証として署名する |
英文秘密保持契約書に含めるべき主要な条項
秘密情報の定義
秘密として扱う情報の範囲を明示します。
サンプル条項
| “Confidential Information” shall mean the information which is disclosed to Recipient by Discloser in any manner, whether orally, visually or in tangible form (including, without limitation, documents, devices and computer readable media) and all copies thereof.” |
| 「「秘密情報」とは、口頭、視覚的、または有形の形態(文書、装置、コンピュータ可読媒体を含むがこれらに限定されない)を問わず、あらゆる方法で開示当事者から受領当事者に開示された情報、およびそのすべてのコピーを意味するものとする。」 |
除外情報
以下のような、既に公知である情報などは秘密情報に含めないことを明示します。
サンプル条項
| ““Notwithstanding the foregoing, Confidential Information shall not include information that: (1) was publicly known at the time of disclosure; (2) becomes publicly known after disclosure through no breach of this Agreement; (3) was already known to the Receiving Party at the time of disclosure; (4) is lawfully obtained from a third party without confidentiality obligation; or (5) is independently developed by the Receiving Party without use of the Disclosing Party’s Confidential Information.” |
| 「前項にかかわらず、秘密情報には以下の情報は含まれないものとする (1) 開示時に公知であった情報 (2) 開示後、本契約に違反することなく公知となった情報 (3) 開示時に受領者が既に知っていた情報 (4) 守秘義務を負うことなく第三者から合法的に入手したもの (5) 開示者の秘密情報を使用することなく、受領者が独自に開発したもの」 |
秘密情報開示の目的
秘密情報の開示目的を、可能な限り明確かつ具体的に定めます。
サンプル条項
| “The purpose of this Agreement is to set forth the confidentiality obligations regarding confidential information disclosed by either party (the “Disclosing Party”) to the other (the “Receiving Party”) in connection with evaluating the feasibility of a joint project related to ●●in Japan (the “Purpose”).” |
| 「本契約の目的は、日本における●●に関する共同プロジェクトの実現可能性の検討(以下「目的」)に関連して、一方当事者(以下「開示当事者」)が他方当事者(以下「受領当事者」)に開示する秘密情報に関する守秘義務を定めることである。」 |
秘密保持義務
秘密情報の第三者への開示・漏洩を禁止し、また目的外の使用を制限することを規定します。
サンプル条項
| “The Receiving Party shall handle the Confidential Information with the care of a prudent manager and shall not disclose it to any third party without the Disclosing Party’s prior written consent. The Receiving Party shall use the Confidential Information solely for purposes related to the Purpose and shall not use it for any other purpose without the Disclosing Party’s prior written consent.” |
| 「受領当事者は、秘密情報を善良な管理者の注意義務をもって取り扱うものとし、開示当事者の事前の書面による承諾なく第三者に開示しない。 受領当事者は、秘密情報を本目的以外の目的で使用せず、開示当事者の事前の書面による承諾なく、他の目的に使用してはならない。」 |
開示対象の制限
(1)秘密情報を開示できる範囲を、必要最小限の従業員に限定します。
サンプル条項
| “Recipient shall disclose Discloser’s Confidential Information only to those of its officers and/or employees who have a need to know such information for the Permitted Purpose.” |
| 「受領当事者は、開示者の秘密情報を、許可された目的のために当該情報を知る必要のある従業員にのみ開示することができる。」 |
(2)弁護士や公認会計士などの外部専門家への開示の定めを置くこともあります。
サンプル条項
| “Disclosure may be made to the Receiving Party’s attorneys, certified public accountants, tax advisors, and other professionals bound by legal confidentiality obligations, provided such disclosure is limited to what is reasonably necessary, and the Receiving Party ensures they are subject to confidentiality obligations equivalent to those under this Agreement.” |
| 「開示は、受領当事者の弁護士、公認会計士、顧問税理士、および法的な守秘義務に拘束されるその他の専門家に対して行うことができる。ただし、かかる開示は合理的に必要なものに限定され、受領当事者は、これらの専門家が本契約に基づく守秘義務と同等の守秘義務を負うことを保証する。」 |
(3)裁判所の命令やその他の公権力の指示、または法令に基づく義務がある場合、情報の開示が認められるケースを契約に規定することは、実務上よく見られます。
サンプル条項
| “If the Receiving Party is required by law, a court or administrative order, or a stock exchange rule to disclose Confidential Information, it may do so only to the extent necessary. However, the Receiving Party shall, to the extent practicable, notify the Disclosing Party in advance so that appropriate protective measures may be sought.” |
| 「受領当事者が法律、裁判所もしくは行政命令、または証券取引所の規則により秘密情報の開示を要求された場合、必要な範囲でのみ開示することができる。ただし、受領当事者は、適切な保護措置を求めることができるよう、実行可能な範囲で事前に開示当事者に通知する。」 |
複写の制限、返却・廃棄義務
秘密情報をコピー・保存する場合の制限と、契約終了後の情報返却・破棄について定めます。
サンプル条項
| “Recipient agrees not to reproduce or copy by any means Confidential Information, except as reasonably required to accomplish Recipient’s Permitted Purpose. “ |
| 「受領者は、許可された目的を達成するために合理的に必要な場合を除き、いかなる手段によっても秘密情報を複製または複写しないことに同意する。」 |
| “Upon termination of this Agreement, the Receiving Party shall promptly return or destroy all Confidential Information and any copies thereof.” |
| 「本契約が終了した場合、受領当事者は、すべての秘密情報およびそのコピーを速やかに返却または破棄する。」 |
違反時の対応・損害賠償
契約違反時に相手方に与えた損害への賠償義務や差止請求権などについて定めます。
サンプル条項
| “In the event of a breach of this Agreement by either Party, the breaching Party shall be liable for any damages incurred by the other Party, including reasonable attorneys’ fees and expenses. “ |
| 「いずれかの当事者が本契約に違反した場合、違反した当事者は、合理的な弁護士費用および経費を含め、他方の当事者が被った損害を賠償する責任を負う。」 |
| “If the Receiving Party breaches this Agreement or causes any unauthorized disclosure, use, or leakage of Confidential Information, the Disclosing Party shall be entitled to seek injunctive relief and/or request appropriate measures to restore the confidentiality of such information.” |
| 「受領当事者が本契約に違反した場合、または秘密情報の不正な開示、使用、漏洩を引き起こした場合、開示当事者は、差止救済を求める権利および/または当該情報の機密性を回復するための適切な措置を要求する権利を有する。」 |
契約期間および秘密保持の継続期間
契約自体の有効期間と、秘密保持義務の継続期間を明記します。
サンプル条項
| “This Agreement shall remain in effect for a period of one (1) year from the Effective Date.Thereafter, it shall automatically renew for successive one (1) year periods unless either Party provides written notice of non-renewal at least one (1) month prior to the expiration of the then-current term.” |
| 「本契約は、発効日から1年間有効とする。その後、どちらか一方の当事者がその時点の期間満了の少なくとも 1 カ月前までに更新しない旨を書面で通知しない限り、本契約は自動的に更新される。」 |
| “Notwithstanding the termination or expiration of this Agreement, the obligations set forth in Articles ●, ●, and ● shall remain in force for a period of three (3) years thereafter.” |
| 「本契約の終了または満了にかかわらず、第●条、第●条、および第●条に定める義務は、その後3年間効力を有する。」 |
義務の否認条項
「秘密情報を開示するかどうかは各当事者の自由であり、契約によって強制されるものではない」ことを明示するものです。
サンプル条項
| “Neither party shall be under any obligation to disclose any Confidential Information to the other party under this Agreement.” |
| 「本秘密保持契約(以下「本契約」という)は、当事者間における将来的な業務関係または取引の可能性を前提とする協議の一環として締結されるものであり、かかる協議において秘密情報の開示および受領は不可欠な要素である。当事者は、秘密情報の開示および受領が、本契約に定める義務に対する十分な約因(対価)となることを相互に認める。」 |
英文秘密保持契約書でよく使われる条項
完全合意条項
本契約書に記載された内容がすべての合意事項であり、過去の口頭や書面でのやり取りは無効であることを明確にします。
過去のメールや覚書が効力を持たなくなる場合があるため、重要なやり取りは契約書に反映させておく必要があります。
サンプル条項
| “This Agreement constitutes the entire agreement between the parties with respect to the subject matter hereof and supersedes all prior understandings or agreements, whether written or oral.” |
| 「本契約は、本契約の主題に関する当事者間の完全な合意を構成するものであり、書面または口頭の如何を問わず、それ以前のすべての合意または了解に優先する。」 |
修正条項
契約の内容を変更・修正するには、当事者の書面による合意が必要であることを明確にします。
後から「口頭で同意した」と主張されるのを防ぐための条項です。
サンプル条項
| “This Agreement may not be amended or modified except by a written agreement signed by both parties.” |
| 「本契約は、当事者双方が署名した書面(電子的手段によるものを含む)による合意によらない限り、いかなる修正または変更も効力を有しないものとする。」 |
権利放棄条項
ある違反行為に対して相手方が権利を行使しなかったとしても、それが将来の権利放棄とはならないことを明確にします。
一度見逃したからといって、その後の違反まで黙認するつもりはない、という主張を支える条項です。
サンプル条項
| “The failure of either party to enforce any provision of this Agreement shall not be construed as a waiver of any subsequent breach of the same or other provisions.” |
| 「いずれかの当事者が本契約のいずれかの条項を履行しなかったとしても、同じ条項または他の条項に対するその後の違反の権利放棄したものとはみなされない。」 |
基本契約書の秘密保持条項との関係
基本契約に含めるべきか別途締結すべきか
多くのビジネス契約では、「秘密保持契約(NDA)」を独立して締結するケースと、売買基本契約や業務委託契約などの「基本契約書」に秘密保持条項を組み込むケースがあります。取引の内容が明確で、秘密情報の範囲も限定的であれば、基本契約書に秘密保持条項を盛り込むだけでも十分な場合があります。
ただし、取引開始前の打合せ段階など、まだ基本契約自体が存在しない段階で情報共有が始まる場合には、事前に秘密保持契約を別途締結するのが適切です。
また、将来的に多様な取引が想定される場合は、1つの秘密保持契約で包括的に守秘義務を設定しておくことで、複数の契約間で一貫した取扱いが可能になります。
二重管理のリスクとその対策
基本契約書と秘密保持契約書の両方に秘密保持条項を設ける場合、内容が重複・矛盾する可能性があるため注意が必要です。たとえば、有効期間や開示対象者の範囲、秘密情報の定義などが異なると、後の紛争の火種になりかねません。
このような「二重管理リスク」を避けるために、基本契約書に「この契約に含まれる秘密保持条項は、別途締結済みの秘密保持契約書の内容に優先する」といった優先関係を明示するなどの対策が有効です。
英文秘密保持契約書の作成・レビューを弁護士に依頼するメリット
英米法と日本法の違いを理解して対応できる
英文契約書は、通常、英米法(コモンロー)に基づく法的文化のもとで作成されています。英米法では、「書かれていないことは存在しないもの」として扱われ、契約条項の文言そのものがすべての判断基準となります。
一方、日本法では、条文に少し曖昧さがあっても、当事者の意図や商慣習などを加味して柔軟に解釈されることが一般的です。
このように、法制度の考え方が根本的に異なる中で、日常英語の感覚で文言を判断することは非常に危険です。弁護士等の法律専門家は、こうした法制度の違いを踏まえたうえで、契約上のリスクを具体的に見極め、必要な条項や表現を的確に補うことができます。
日常英語とは異なる「契約英語」の理解が必要
秘密保持契約では、“shall” や “may” の使い分け、“reasonable efforts” などの言い回し一つで、法的拘束力や責任の有無が大きく異なることがあります。これらは日常英語ではほとんど使われない表現であり、契約英語独特のニュアンスや法的効果を正確に把握していないと、重大な誤解につながります。
弁護士等の法律専門家であれば、こうした契約英語に関する知見をもとに、「何をどこまで守らなければならないのか」「どの範囲で開示が可能か」といった判断を、文言レベルで具体的に調整できます。
無料テンプレートには限界がある
近年では、インターネット上で英文秘密保持契約書のテンプレートが多数公開されており、手軽に入手・利用できる点が大きなメリットです。初期段階のやりとりや、簡易な内容の確認目的であれば、こうしたテンプレートでも一定の効果は期待できます。
しかしながら、テンプレートはあくまで「一般的なひな型」であり、自社のビジネスモデルや取引スキーム、交渉の背景事情を反映していないという限界があり、予期せぬリスクを招く可能性があるため、弁護士等の法律専門家の助言を受けるとより確実です。
秘密保持契約書を英語で作成・レビューするポイントまとめ
以上のように、英文の秘密保持契約は単なる翻訳ではなく、英米法の契約概念やビジネス慣習を踏まえた上で慎重にドラフト・レビューする必要があります。日本語契約と同じ感覚で扱うと、予期せぬリスクや法的拘束を負う可能性があるため、注意が必要です。
英語で秘密保持契約を作成・レビューする際は、契約用語の意味や文脈を正確に把握し、それぞれの表現が持つ法的含意を十分に理解した上で、慎重に確認・調整を行うことがポイントです。

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弁護士 小野 智博弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士。
慶應義塾大学環境情報学部、青山学院大学法科大学院卒業。企業法務、国際取引、知的財産権、訴訟に関する豊富な実務経験を持つ。日本及び海外の企業を代理して商取引に関する法務サービスを提供している。2008年に弁護士としてユアサハラ法律特許事務所に入所。2012年に米国カリフォルニア州に赴任し、 Yorozu Law Group (San Francisco) 及び Makman and Matz LLP (San Mateo) にて、米国に進出する日本企業へのリーガルサービスを専門として経験を積む。
2014年に帰国。カリフォルニアで得た経験を活かし、日本企業の海外展開支援に本格的に取り組む。2017年に米国カリフォルニア州法人TandemSprint, Inc.の代表取締役に就任し、米国への進出支援を事業化する。2018年に弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所を開設。世界市場で戦う日本企業をビジネスと法律の両面でサポートしている。
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